住宅の外観について考える時、樹木や草花の有無によって大きく印象が変わるものです。住宅の敷地内に植える植物を、「植栽」といいます。近年では、植物の手入れの手間が掛からないからと、植栽を一切植えない住宅も少なくありません。それでは、植栽にはどのような役割があるのでしょうか。植栽の役割や、植栽におすすめの植物について紹介していきましょう。

「植栽」とは？

植栽とは、住宅の敷地内に植えるさまざまな樹木や草花を指します。また、敷地内にさまざまな樹木や植物を植える作業自体、植栽と呼ぶこともあります。植栽は敷地内の玄関周辺や門、塀や庭などに植えられることが多く、どのような樹木や草花を選ぶかによっても雰囲気は同じにはなりません。

植栽にはさまざまな役割があり、適している樹木・草花もあれば適さないものもあります。植栽の目的について明確にして、植栽に合った樹木・草花を選ぶ必要があるでしょう。

植栽の役割は？

ここからは、植栽の役割についてお話ししていきます。自宅に植栽を導入するか、検討する際に参考にしてみてください。

目隠しの役割

住宅の敷地の境界にフェンスなどで目隠しをしない「オープン外構」は、解放感のある点で人気です。ところが実際そこで暮らしてみると、通行人からの視線や隣家からの視線が気になり、落ち着かないものです。そのため、後から目隠しを設置するリフォームする人が少なくありません。

そこでおすすめなのが、植栽による目隠しです。フェンスや塀でも目隠しできるものの、植栽の方がよりナチュラルで優しい印象を与えられるでしょう。

記念・シンボルの役割

近年、庭造りに「シンボルツリー」という概念が加わったのをご存知でしょうか。庭にその住宅を象徴する背の高い樹木を植え、その樹木を中心に植栽を計画していくのです。シンボルツリーという概念のなかった頃から、「記念樹」は多く植えられていました。記念樹は、家族の誕生などのお祝い事の記念として植える樹木のことです。家族にとっての大切な樹木を植えて成長を見守っていくことで、その住宅に暮らす年月を重ねていく喜びも感じられることでしょう。

プライバシーの保護 ・防犯

背の高い植栽を設けることで、敷地内の様子や室内を外から覗きにくくする役割を果たします。敷地内や室内の様子が外からわかる住宅は、どうしても空巣被害に遭いやすい傾向にあるのはご存知でしょう。植栽はプライバシーを保護するとともに、防犯の役割も果たすのです。

風よけ・日よけの役割

背の高い樹木や、枝が広がり葉を多くつける樹木にすれば、木陰ができ、自然のカーテンとして日よけや風よけをしてくれることでしょう。シェードなど人工の日よけとは異なり、完全に遮るものではない、優しい木陰が作れます。

虫よけの役割

植栽には虫の寄ってくるようなイメージが強いかもしれません。ところが種類によっては、虫を寄せつけない植物もあるので、植栽に取り入れれば、虫よけの役割も果たします。

植物を眺めて楽しめる

人工物であるフェンスや塀を眺めるよりも、植物を眺めていた方が心も癒されるのではないでしょうか。また、花の咲く植物や紅葉する植物・実をつける植物などを植栽に採用すれば、花や実をつけたり色が変わったりする様子も大いに楽しめます。

植栽におすすめの植物をご紹介！

樹木や草花には、植栽に向いているものと向いていないものとがあります。ここからは、植栽に向いている植物を、いくつか紹介していきましょう。

目隠し・シンボルツリーにおすすめの「オリーブ」

南欧風の庭造りに人気なのがおしゃれなオリーブです。「夫婦円満」「家族円満」を象徴する縁起のいい木としても知られ、シンボルツリーにもぴったりです。目隠しにもなり、背も高くなり過ぎないなど、初心者にも育てやすい木だといえるでしょう。

おしゃれな生垣にできる「ベニカナメモチ」

生垣によく使われるベニカナメモチは、新芽が紅色のため大変美しい生垣になります。

丈夫で世話いらずの「アジサイ」

梅雨を象徴する花であるアジサイは、非常に丈夫で繁殖力も強いことはご存知でしょうか。しっかりした枝が広がるので、目隠しにもぴったりです。小さな花が集まって咲く様子は、幸せな家族を連想させます。