造園とは庭を造るという意味で理解しているものの、ガーデニングやエクステリアとどう違うのか、明確にわからない方もいらっしゃるでしょう。また、個人住宅で造園工事を行う場合は、どのようなことを基本に進めていけばいいのかも気になります。本記事では造園とは何であるか、ガーデニングやエクステリアとの違いもご紹介します。

造園とは？

造園とは、文字通り庭を造ることです。庭といっても、個人住宅の庭やホテルの庭園、公園などさまざまな種類があり、それらすべてが含まれます。また、屋上緑化や壁面緑化、メンテナンスも造園に含まれます。では、造園はガーデニングやエクステリアとどう違うのでしょう。

造園とガーデニングの違い

造園とガーデニングは新しく庭を造る、もしくは既存の庭を装飾するという違いがあります。造園は目的やイメージに合わせて新しく庭を造る作業で、設計や土地改良、植栽などさまざまな作業が必要です。一方でガーデニングは庭で植栽したり、アイテムを設置したりなど装飾をする作業です。ガーデニングは専門的な知識がなくても行えますが、造園は植物学や土木工学、デザインなどの専門知識と技術が求められます。

造園とエクステリアの違い

造園とエクステリアは、共通する部分も多くあります。エクステリアは塀やアプローチ、カーポート、庭も含む建物の周辺のことです。そのため、造園作業もエクステリアに含まれるといって良いでしょう。造園は緑地空間を造ること、エクステリアは建物の周りの空間を施工すること、という相違になります。造園は、庭回りの植物や自然素材を扱う施工、エクステリアは概観全般の施工と分類できるでしょう。

造園で求められる知識や資格とは？

造園には、植物に関する知識や土木の知識などが必要です。そのため、造園業者として業務を行う場合は、資格を保有する必要があります。造園技能士や造園施工管理技士の資格を保有するスタッフが在籍しないと、造園業は営めません。

個人住宅における造園の基本

個人住宅で造園工事を行う際の基本としては、次の5つがあげられます。

目的を明確にする

造園工事をするうえで基本となるのは、目的の明確化です。庭造りの目的を明確にすることで、プランを立てやすくなります。目的の明確化の方法は、メインテーマを決めることです。イメージ作りの例としては、次のようなものがあげられます。

• 季節の草花を楽しむ庭
• 団欒スペースとしての庭
• 子どもの遊び場としての庭
• 観賞用の庭

いくつかのテーマを組み合わせたプランもありですが、スペースが狭い場合は1つに絞った方が良いでしょう。また、ライフステージに合わせて理想の庭のイメージも変わってくるため、長期的な視点で考えることも大切です。

庭の様式

造園工事を行う際の基本は、庭の様式です。日本の住宅で一般的に用いられているのは、和洋折衷様式です。和風の風景式庭園と、洋風の建築式庭園を組み合わせ、理想的な庭を造り出しています。また、洋風といっても北欧スタイルや西海岸スタイルなど、さまざまあるため、いろいろな庭を見て好きなスタイルを探すことが大切です。

立地条件に合わせる

造園工事を行う際の基本は、立地条件に合わせることです。立地によって適する植物やデザインも違ってくるため、立地に合わせて工夫することも必要になります。立地が悪くても植える植物を変えるなど、悪条件をカバーする方法もあります。立地条件を考慮して、適切なプランを立てることが大切です。

また、造園工事では隣家にも気をつけねばなりません。隣家との境界の近くに落葉樹を植えたことで、落ち葉が隣家に大量に落ち、トラブルに発展する可能性もあるでしょう。造園工事により、隣家の庭も美しく見えるよう、配慮する必要があります。

日当たり・土・風通しを確認

日当たりや土壌、風通しを確認するのも、造園工事の基本です。日当たりが悪いと植物の成長が悪くなります。日照時間が短くても成長する木を選び、植栽する必要があります。また、日当たりが良い場合は、日当たりの好む木を植栽しましょう。土壌においては、黒や褐色のふっくらした土であれば、どのような植物でも育ちます。粘土質は水はけが悪いため、水はけを良くするための工夫が必要です。

狭い敷地

狭い敷地の造園工事では壁面を利用したり、玄関先にスペースを見つけたりしてコンパクトで美しい庭を造り出すことが基本です。物を増やしすぎるとごちゃごちゃしてしまうため、すっきりまとめることが大切です。また、遠近法を使って庭を広く見せるのも、狭い敷地で造園工事を行う基本のテクニックになります。